第18回es-teamミーティング2022レポート
東京都葛飾福祉工場 在宅就労グループes-team 中川美貴子
令和4年11月9日水曜日、今年も無事に、在宅就労グループ「es-team(エス・チーム)」のメンバーが一堂に集う「es-teamミーティング」(第18回)が無事に開催されました。少しずつ落ち着いてきているとはいえ、今年もコロナ禍の影響で、オンラインがメインの開催となりました。
6月にもプレミーティングがあり、es-teamのメンバーとは、その時もオンラインでお会いしていますが、滅多にお会いする機会がないので、それぞれの近況報告はとても貴重な時間です。体調が不調の方もいらっしゃいますが、アクティブに活動をなさっている方もいて、本当にes-teamは、自分の身の丈で活動できるいいチームだなと感じます。
さて、今年のes-teamミーティングのメインの講座は、池袋のサンシャイン水族館をはじめとする水族館のプロデュースや、日本バリアフリー観光推進機構の理事長として活躍されている、中村元(なかむらはじめ)氏に、『弱点を武器に進化する』~凡才プロデューサの逆転発想~というタイトルで、講演をしていただきました。
何故、プロデュースで、数々の成功をおさめることが出来たのか、わかりやすく、時にはおもしろいエピソードを交えて説明していただき、何度も笑顔がひろがるたのしい講演でした。
水族館のお話では、最初に「北の大地の水族館」の話をうかがいました。超貧乏、超田舎、極小、酷寒、スター不在というたくさんの弱点を克服するためにはどうしたらいいか、極寒という欠点を武器にするため、外に穴を掘って、真冬には凍った川の水槽として展示したところ、集客が15倍に増えたという劇的な変化にとても驚きました。しかも今でも一定数の集客があるとのこと。また、池袋の「サンシャイン水族館」で、一躍有名になった「天空のペンギン」の水槽も、水を大量に使えない、ビルの屋上というせまく制約の多い空間をどう活かすか考えた結果、ペンギンが空を飛ぶように泳ぐ様子がみられる水槽が完成。いずれも弱点が活かされた展示となっていて、とても、興味深かったです。
個人的に一番印象に残っているのは、水族館は人々が観たり楽しんだりすることばかりでなく、種の保存と保護も、役割の一環としてあるので、中村氏の「生き物たちがとらえられて、そこで命を終えなければいけない、自分は、そのことに、報いる責任がある。だからこそ、いい水族館をつくって沢山の人に知ってもらうことが大切だと考えている。」という言葉でした。
伊勢志摩バリアフリーツアーセンターのお話では、伊勢神宮という長所をあえて、弱点と考えて利用せず、活かせていないターゲットを模索したところ、増客可能なのは平日しか残っておらず。平日を売れるターゲットに高齢者を考え、地域ごとバリアフリーに力を入れた結果、伊勢神宮という強いブランドのせいで、今まで敬遠されてきた身体の不自由な客層を明らかにできた。とのこと。結果、アクセシブルに外出ができるようになり、日本で一番車いすユーザーが出歩いている街になったと、うれしそうに話されていました。
今回の講演で、普段、自分がデザインの仕事をする上で、発想をいかに転換できるかのヒントをたくさんいただけて、とても参考になったので、今後に活かしていけたらと考えています。
会場で講演する中村元(なかむらはじめ)氏