Vol.3 「キラキラっとアートコンクールとes-team」
在宅就労グループ「es-team(エス・チーム)」メンバーの多くは「フリーランス/個人事業主」という立場でチームにかかわっています。こうしたメンバーとは、東京コロニーがお客さまより受注した仕事を再委託し、対価を支払うという関係で成り立っています。当然、委託内容や機密保持等に関する厳密な契約を取り交わしています。
その契約書の条項の中に、「急な体調不良等に起因する業務不履行が生じた際」であっても、そのことを理由に「不利益な扱いはしません」という独特な決めごとがあります。体調回復の優先はどの仕事でもあることですが、業務委託契約の中で敢えてそれを明文化し、かつ不利益扱いをしない旨まで定めているのは稀と思われます。これは、安心して仕事に取り組める環境を担保することが、結果的によりよい仕事につながっているという経験則によるものです。
私たちの成果物の多くは、複数のメンバーが体調やペースと相談し、役割を決めてお互いに補完しあいながら行っています。そしてそこには、お客さまのご理解も大きく関与しています。
三菱地所株式会社様が主催する「キラキラっとアートコンクール」という大きなイベントがあります。障がいのある子どもたちのアートの可能性に着目し、これを支援して行きたいとの想いから毎年開催されている絵画コンクールで、13回目となる今年は、1,800点を超える作品が全国から集まりました。技巧よりも子どもたちの自由な世界観や、豊かな表現性を重視し、プロモーションの目線でとらえているのもこのコンクールの特徴であり、ここからプロとしての第一歩を踏み出したアーティストも数多く存在します。
毎年es-teamでは、このコンクールに応募された作品をモチーフにデザインしたノベルティ(絆創膏やふせんメモ、メモピットなど)の企画制作を受託しています。今年のノベルティは、昨年の優秀作品「親子(作・ふくだ かなこ さん)」をモチーフにした絆創膏セット。2頭のクジラの親子が連なる迫力と、子クジラが親を見つめる視線が絶妙で、シンプルなモノトーンの線画がその情景をさらに際立たせている作品です。そして、こうした原画の良さを活かし、es-teamの複数のメンバーが原画の加工、グラフィックデザイン、提案資料作成、受注後のオペレーションなどを役割分担しながら、ともに成果物をつくりあげていきます。これまでに9年連続、述べ12種類のノベルティをつくらせていただきました。かかわったメンバーは数知れず、ある年にはメンバーが体調不良でリタイアしてしまい、チームワークによって切り抜けたこともありました。いつも楽しみに完成を待ってくださっているお客さまの存在や、成果物が全国で多くの人に使ってもらえる期待感。こうしたことの積み重ねが多くの仕事のささえにもなっています。
第13回キラキラっとアートコンクールでは、応募作品の中から優秀作品50点を厳選し、2015年2月まで全国各地で原画展を開催しています。そして、会場で来場者アンケート(作者へのメッセージ!)に答えてくださった方に、記念品としてこの絆創膏を差しあげています。ご来場の際は、ぜひアンケートにご協力のうえ、数々の原画が並ぶ入口に添えられた、es-teamの「作品」も、ぜひ手に取ってみてください。
【参考サイト】
キラキラっとアートコンクール
優秀作品展スケジュール
(吉田 岳史/東京都葛飾福祉工場・SOHOコーディネータ)