在宅就業セミナー(2)
2012年03月02日 古関 発
前回、尾崎さんが在宅就業セミナーの午後の部のレポートをされました。私は午前の部にも参加しましたので、そちらを報告します。
午前の部は「地域で働き続けるために−在宅就労への支援ポイントを考える」 と題して、在宅就労に当たって押さえるべきポイントなどを特別支援学校の先生や福祉就労施設の職員、障害児の保護者など、支援する側の人に向けたセミナーです。
まず、東京コロニー職能開発室の堀込さんから、「在宅就労基礎講義」として雇用とフリーランスの違い、在宅就労の歴史、仕事の内容や収入など働いている人の現在の状況について。続いて厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部の谷口さんから在宅就業支援制度についての説明と現状に関しての話しがありました。
気になったのは「在宅就業支援団体」についてでした(在宅就業支援団体について詳しくはこちら→)。現在、正式に登録している団体は全国で19あります(東京コロニー職能開発室も正式に登録されています)。この団体、私たちが在宅で働く拠り所になっているのですが、この数は少なすぎるのではと考えます。せめて各都道府県に一つあれば、まずそこを足がかりにすることもできるのでは、と考えました。
次に、「私たち、在宅でこう働いてます 雇用と非雇用、両方の立場から」 と題してゲストトークがありました。株式会社TBSテレビの長谷川さん(勤務1年目)、NECソフト株式会社の浮揚さん(ベテラン)、フリーランス(これは古関が話しをさせて頂きました)と3名の当事者が雇用、非雇用とそれぞれの立場から経験したこと、考えていることを話しました。
長谷川さんは施設に入所していながら在宅勤務をしていることを話されました。自宅ではなく施設で暮らしながら、施設内の自分の部屋で仕事をしています。このような例は珍しく、初めのうちは雇用する会社側でも、施設側でも「一体どうやって進めていけばいいのか」というようなとまどいがあったそうですが、会社ではフレックスタイムの導入、施設の方では入浴など時間が決まっているスケジュールに関して柔軟に対応してもらうなどの工夫で長谷川さんの在宅勤務が可能になっています。在宅勤務をしていくには難しいと思われる場所でも、働きたいという願いと、会社や施設の理解、協力があることで困難な壁も乗り越えられると思いました。
浮揚さんは長い間、在宅勤務をされているだけあって、普段の業務内容や今までの経験など落ち着いて話しをされていて、安心して仕事を任せることができる雰囲気がありました。
古関は、途中ブランクはあるもののフリーランスで働くようになって20年以上になります。その間、得たものとしてフリーランスで働き続けるためにクライアントと信頼関係を築くことが大切だということを柱に話しました。
いろいろと盛りだくさんなセミナーでした。一口に在宅といっても自宅であったり、施設であったり。働く理由も経済的自立を目指す人、そこに生きがいを求める人。働く形態も、理由も人それぞれです。いろいろな働き方ができることは、それだけ選択肢が広がることになります。より多くの人の「働きたい」願いを叶えるためにも、来年以降もセミナーを継続されればと思いました。